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学習の前に学ぶための準備を始めます。
「今日は、何をやったほうがいいかな?」
「どこまでやったほうがいいかな?」
対話を通じて、一緒に決めていきます。
それぞれの学習状況にあった学びを
提供できるように個別で指導していきます。 -
勉強の合間にお友達やスタッフと
自由遊びやコミュニケーション。
カードゲームや運動でルールや協力することを
意識しながら楽しみ、時にはスタッフや
お友達とじっくりとお話しする。
さまざまなかかわりや遊びを通じて、
関係性を深めていきます。 -
遊びとコミュニケーションで気持ちを
リセットしたら、再び勉強です。
科目を変える?それともさっきの内容の続き?
プラン通りできるのか、プランを変更するのか、
対話を重ねて進めていきます。
そして最後に学んだことをふりかえります。
自閉症スペクトラム障がい(ASD)や学習障がい(LD)、ADHDの特性を持つ子どもたちは、学校で「うまくいかない経験を積むリスク」が高くなります。ASDならば、そのこだわりの強さやコミュニケーションの不得意さを起因として集団活動でうまくいかないかもしれない。ADHDならば、授業中に注意集中ができず立ち上がったり、先生のお話や指示が聞けなかったりすることで叱られることがあるかもしれない。LDならば先生が黒板に書いたことをうまくノートに写しとることができず学びの意欲を失ってしまうかもしれない。
失敗は人が成長するために必要なことです。一方で、失敗に対する叱責や嘲笑の体験が子どもを大きく傷つける場合もあり、その体験を重ねることで、成長どころか、前に進む力をくじいてしまう可能性もあります。
私たちが一番注意深く避けなければならないのは、子どもたちの自尊感情を奪うこと。私たちの支援の大きな目的は、「自尊感情をその子に合った形で育むこと」です。そして、学校での失敗体験を減じるともに、失敗を自分なりに受け止めて成長に変える力(レジリエンス)を養うことです。さらに、学習支援を起点とし、遊び、対話、運動…さまざまな経験と通じて、人とかかわる力などを養っていくことで、社会生活をしていくための根本的な力「人間関係形成能力」をつけていくことを目指していきます。
- 学習を積み上げるための力
- 「読む」「書く」「話す」「計算する」など、学びを進めていく
ための土台となる力です。 - 作業する力
- 鉛筆で書く、コンパスや定規、はさみなどを使う、など
日常生活にも応用可能な手先を使う力です。 - 日常生活に活用する力
- お買い物、料理、パソコン…勉強を通して学んだことは
日常生活のさまざまな場面で活用できます。 - プランを立てる力
- 問題の解法を見立てたり、勉強の時間配分などの計画を
つくったり、実行したりする力です。 - 表現する力
- 身に着けた語彙を作文などにすることで、自分の考えや
気持ちを表現する力です。 - かかわる力
- 人の気持ちを考えたり、対話を重ねたりすることで
人との関係を築く力です。
私たちの学習支援が目指すものは、一人ひとりの「個」を大切にする支援です。そのお子様の発達段階や習得状況によって「学ぶスピード」や「今、学ぶべきこと」は違います。支援する側がそれを見誤れば、つまずきのきっかけになったり、勉強が嫌いになったり、自尊感情の低下をまねいたりするかもしれません。「学習支援」とひとくちに言ってもその支援のカタチは一人ひとり違い、実に多様なのです。「今、この子はどの発達段階にあるんだろう?」私たちの支援はそれを知ることから始まります。お子様の状況をしっかりと把握し理解するために、WISC等の心理検査の活用、保護者様への聞き取り、実際の支援における観察、支援者間での議論と情報の共有など、丁寧なアセスメントを行い、学習支援やコミュニケーションスキルの形成のための支援のカタチを作っていきます。
書くのが苦手な子、読むのが苦手な子、数の概念がなかなか掴めない子、本当はできるのになんらかのこだわりや心理的なつまずきで学びが進まない子…。学習のつまずきのリスクはさまざまです。また、学年相当の学習内容のサポートが必要な子もいれば、学年相当の学習に向かうための準備学習が必要な子もいます。進学等、将来を見据えた学習が必要な子もいれば、社会性や自尊感情を育てるための学びの環境が必要な子もいます。「学習支援」のニーズもさまざまです。
「つまずきのリスクを考慮した支援」
「ニーズに沿った支援」
この2つをしっかりと実践していくことが、私たちが考える学習支援の重要なポイントです。
私たちは子どもたちが安心して学び、育つために必要な環境の設定をしていきたいと思っています。そのために3つのことを意識しています。
1.「居場所感」がある
「居場所」は、子どもたちが日常生活を歩んでいくためのプラットフォームです。日々、さまざまなことを頑張っている子どもたちにとって、そこが居場所としてあることで、また明日以降も頑張れる、そんな環境づくりをしていきたいと思っています。
2.「信頼できる大人」がいる
友達にも学校の先生にも親にもあんまり言えないこと、それを「先生、先生!」といきいきと話してほしい。言葉に出すことで、生きづらさや心の疲れが緩和され、気づきをもたらし、成長を促すことがあるのです。だから私たちスタッフ一人ひとりが「信頼できる大人」でありたいと考えています。
3.「遊び」の中での気づきがある
勉強だけでなく、休み時間の自由な遊び、これもとても大事な支援のカタチ。そこにはさまざまな力が要求されます。みんなのためにカードを配る、勝ち負けを受け入れる、ルールを守るということや、どんな言葉が相手を傷つけたり、遊びがつまらないものになったりするのか、子どもたちはさまざまなことを楽しみながら安全な環境の中で経験する。これも私たちの支援のカタチのひとつです。
えりくの支援は関わり重視。だから保護者の皆様との「関わり」も重視しております。私たちが実践しているのは、日々の支援の中でのコミュニケーション、発達や学習・進路等にかかる相談援助、保護者会やペアレントトレーニングの実施などです。子育てやお子様の進路について、少しずつ話し合いを重ねながらイメージしていく相談支援は、カウンセリングやアセスメントの知識や理論を取り入れながら、じっくりと行っていきます。
また、保護者会は、保護者同士の背景の違いをお互いに受け入れながら、温かい雰囲気の中で、先輩お母さんの経験や、これからの子育ての不安や期待を共有します。
行動療法の方法論を取り入れたペアレントトレーニングは、できるだけ受容的な雰囲気の中で楽しく、時には悩みながら、保護者の皆様に理論と共に実践と勇気づけのサポートをしていきます。
このように、私たちはお子様への直接的な支援だけでなく、家族の皆様へのサポートを通じて、お子様がすくすくと育っていく環境を整えていくことを大切にしています。
小学校における適応と
これから学んでいくための土台をつくる時期
基本的な読み書き計算だけでなく、勉強に取り組むための姿勢-ちょっとだけ我慢してみる・準備をする・プランをたてる・見通しをたてるなど-を養っていきながら、学習面やかかわり面でのつまずきを軽減し、学校で適応と長期にわたって学んでいくため土台作りのためのサポートをしていきます。
自立への成長を見守りながら
勉強や集団活動での適応を目指す時期
「自分でやりたい」「誰かに邪魔をされたくない」そんな自立心の芽生えが生まれてくる時期です。ちょっと離れて見守りながらも、集団でのかかわりに困り感がないか、抽象的になってきた学習内容へのつまずきはどうか、さまざまな面で配慮しながら、少しでも自信を育めるようサポートをしていきます。
思春期の始まりと特性に配慮しながら
進学に向けた基礎学力をつくる時期
思春期が始まり、脳が生まれ変わる時期です。その中で本人も理解しがたい混乱に見舞われているかもしれません。一方で、学校の授業内容はより高度で抽象的になります。思春期特有の難しさと個々の特性に配慮しながら、肯定ベースのかかわりと、中学進学のための基礎学力を身につけるための支援をしていきます。
新たな環境への適応と
将来にむけた学びの時期
中学校での生活は情報量が増え、生活環境や関係性もがらりとかわります。環境の変化に対する負担や混乱を軽減し、まずは良好な適応を目指すために「居場所」的な環境をつくります。そして、将来のことをちょっとだけ真剣に考え、進学や就労までのプロセスをより充実した形にできるようにサポートをしていきます。
自己の客観視と進路や現実との葛藤を
乗り越えるための時期
さまざまな特性を持った子どもたちも、高校生になると、少しずつ自分を客観視できるようになります。そんな時期に必要なのは、さまざまな経験やかかわりです。たとえば小さい子の世話をするなど役割を担う経験や、大人との対話の中で将来について真剣に考えること。もちろん学習の支援もしながら、これらの経験を積むための環境づくりをしていきます。
このように年齢ごとに「発達のステージ」や「学習面や学校生活での課題やつまずきのきっかけ」の典型的な例があります。一方で、一人ひとりが全く違った特性を持ち、全く違った発達段階にあって、全く違った環境の中で育っているということも忘れてはいけません。だから、画一的な支援はできず、一人ひとりに合わせた形で支援が必要になります。わたしたちは、長期的な視点をもちながら、お子様のそれぞれの成長に合わせたサポートをしていきます。